生薬解説黄芩おうごん

生薬解説 黄芩

【大分類】清熱剤…熱を除去する中薬です。
【中分類】清熱燥湿薬…乾燥しながら熱を除去する中薬です。

黄芩 いらっしゃいませ 中国における薬物の応用の歴史は非常に古く、独特の理論体系と応用形式をもつに至っており、現在では伝統的な使用薬物を「中薬」とよんでいます。

中薬では草根木皮といわれる植物薬が大多数を占めるところかろ、伝統的に薬物学のことを「本草学」と称しており、近年は「中薬学」と名づけています。

中薬学は、中薬の性味・帰経・効能・応用・炮製・基原などの知識と経験に関する一学科であり、中医学における治療の重要な手段のひとつとして不可分の構成部分をなしています。

キャッチコピー神経鎮静/湿熱除去

【学 名】…Scutellariae Radix

【別 名】…スカルキャップ


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 概 要

●消炎、解熱薬として、炎症、充血、発熱を伴う疾病で、心下部の痞え、胸脇苦満、煩熱、下痢などを目標に応用します。
①みぞおちのつかえを治す。
②肺腸の解熱の働きがある。
③肺腸の消炎、止血の働きがある。
④止痢作用がある。
⑤胆汁分泌・排泄を促進するが血中ビリルビン抑制力なし。
⑥軽い通じ薬の働きがある。
⑦利尿作用。

 生薬生産地

中国地図 【中国産地】…河北省、山西省、内蒙古自治区


 処方と調合

●黄連(オウレン)など、冷やす性質のある生薬とともに、黄色く濃い痰、喉の渇き、イライラといった症状をともなう熱性の悪寒に使用します。(三黄瀉心湯など)

●白芍薬(シャクヤク)、山梔子(クチナシ)、黄柏(キ八夕)、牡丹皮(ボタン)、まだは大黄(ルバーブ)と配合し、赤痢、鼻血、喀血に関連する湿熱に使用します。(黄連解毒湯など)


 伝統的薬能

●熱を取り除き、火を鎮める。

●湿熱を排出する。

●(切迫流産の際に)胎児を鎮める。

●肺の熱を取り除ぎ、肝の陽を鎮める。

【基原(素材)】…シソ科コガネバナまたは近縁植物の根を乾燥したもの。

※薬物の治療効果と密接に関係する薬性理論(四気五味・昇降浮沈・帰経・有毒と無毒・配合・禁忌)の柱となるのが次に掲げる「性・味・帰経」です。

【温寒】…
※性:中薬はその性質によって「寒・涼・平・熱・温」に分かれます。例えぱ、患者の熱を抑える作用のある生薬の性は寒(涼)性であり、冷えの症状を改善する生薬の性は熱(温)性です。寒性、涼性の生薬は体を冷やし、消炎・鎮静作用があり、熱性、温性の生薬は体を温め、興奮作用があります。

生薬(中薬)の性質と関連する病証
性質作用対象となる病証

寒/涼

熱を下げる。火邪を取り除く。毒素を取り除く。

熱証。陽証。陰虚証。

熱/温

体内を温める。寒邪を追い出す。陽を強める。

寒証。陰証。陽虚証。

熱を取り除き、内部を温める2つの作用をより穏やかに行う。

すべての病証。

 【補瀉】…  【潤燥】…  【升降】… 降  【散収】… 収
【帰経】…心・肺・胆・大腸
※帰経とは中薬が身体のどの部位(臓腑経絡)に作用するかを示すものです。

【薬味】…苦  まず心に入ります。
※味とは中薬の味覚のことで「辛・酸・甘・鹸・苦・淡」の6種類に分かれます。この上位5つの味は五臓(内臓)とも関連があり、次のような性質があります。
生薬(中薬)の味と関連する病証
 味作 用対象となる病証対象五臓

辛(辛味)

消散する/移動させる。体を温め、発散作用。

外証。風証。気滞証。血瘀証。

肺に作用。

酸(酸味)すっぱい。渋い。

縮小させる(収縮・固渋作用)。

虚に起因する発汗。虚に起因する出血。慢性的な下痢。尿失禁。

肝に作用。

甘(甘味)

補う。解毒する。軽減する。薬能の調整。緊張緩和・滋養強壮作用。

陰虚。陽虚。気虚。

脾に作用。

鹹(塩味)塩辛い。

軟化と排除。大腸を滑らかにする。しこりを和らげる軟化作用。

リンパ系その他のシステムが戦っているときの腫れ。

腎に作用。

苦(苦味)

上逆する気を戻す。湿邪を乾燥させる。気血の働きを活性化させる。熱をとって固める作用。

咳・嘔吐・停滞が原因の便秘。排尿障害。水湿証。肺気の停滞に起因する咳。血瘀証。

心に作用。

淡(淡味)

利尿。

水湿証。

【薬効】…解熱作用  消炎作用  止血作用 

【薬理作用】…柴胡と組んで胸脇苦満に、黄連と組んで心下痞(みぞおちのつかえ)に用いられます。胆汁分泌促進作用、利尿作用また解毒作用がある。

【用 途】…消炎、解熱薬として、炎症、充血、発熱を伴う疾病で、心下部の痞え、胸脇苦満、煩熱、下痢などを目標に応用します。

【学 名】…Scutellariae Radix

【禁 忌】…熱や湿の症状が明らかでない場合は、使用を避けること。

●日本薬局方
【出典】…神農本草経
【三品分類(中国古代の分類)】… 神農本草経や名医別録などでの生薬分類法
中品(保健薬)


 生薬の画像

●黄芩の図


●黄芩の植物画像


●黄芩の植物画像2


●黄芩の生薬画像



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 方剤リンク

関連リンク 本中薬(黄芩)を使用している方剤へのリンクは次のとおりです。
  関連処方温清飲 »
  関連処方黄連解毒湯 »
  関連処方乙字湯 »
  関連処方荊芥連翹湯 »
  関連処方五淋散 »
  関連処方柴胡桂枝乾姜湯 »
  関連処方柴胡清肝湯 »
  関連処方三物黄芩湯 »
  関連処方三黄瀉心湯 »
  関連処方小柴胡湯 »
  関連処方潤腸湯 »
  関連処方辛夷清肺湯 »
  関連処方清上防風湯 »
  関連処方清心蓮子飲 »
  関連処方清肺湯 »
  関連処方大柴胡湯 »
  関連処方二朮湯 »
  関連処方女神散 »
  関連処方半夏瀉心湯 »
  関連処方防風通聖散 »
  関連処方竜胆瀉肝湯 »


生薬 生薬は、薬草を現代医学により分析し、効果があると確認された有効成分を利用する薬です。 生薬のほとんどは「日本薬局方」に薬として載せられているので、医師が保険のきく薬として処方する場合もあります。

中薬・中成薬 中薬は、本場中国における漢方薬の呼び名です。薬草単体で使用するときを中薬、複数組み合わせるときは、方剤と呼び分けることもあります。
本来中薬は、患者個人の証に合わせて成分を調整して作るものですが、方剤の処方を前もって作成した錠剤や液剤が数多く発売されています。これらは、中成薬と呼ばれています。 従って、中国の中成薬と日本の漢方エキス剤は、ほぼ同様な医薬品といえます。


 詳 細

●コガネバナScutellaria baicalensis Georgiは中国北部などの草地、荒地に自生する多年生草本です。

●野生品が利用されるほか、中国では広く栽培が行われ、日本でも若干の生産があります。

●7~8月頃、紫色~青紫色の花を咲かせます。その様は海に波が立つのに似て、日本自生の同属植物の多くは「~タツナミソウ」の和名をもちます。根の断面が黄色であることが和名の「コガネバナ(黄金花)」、生薬名の「オウゴン(黄芩)」の由来です。

●心下部のつかえ、胸脇苦満、発熱、下痢などを目標とし、黄連解毒湯、半夏瀉心湯、柴苓湯などの処方に配合します。


 成 分

wogonin, baicalin


生薬陳列

 生薬の書物の歴史

1.【神農本草経】(西暦112年)
中医薬学の基礎となった書物です。植物薬252種、動物薬67種、鉱物薬46種の合計365種に関する効能と使用方法が記載されています。
神農本草経

神農神農:三皇五帝のひとりです。中国古代の伝説上の人といわれます。365種類の生薬について解説した『神農本草経』があり、薬性により上薬、中薬、下薬に分類されています。日本では、東京・お茶の水の湯島聖堂 »に祭られている神農像があり、毎年11月23日(勤労感謝の日)に祭祀が行われます。



2.【本草経集注】(西暦500年頃)
斉代の500年頃に著された陶弘景(とうこうけい)の『本草経集注(しっちゅう)』です。掲載する生薬の数は、『神農本草経』(112年)の2倍に増えました。 本草経集注(しっちゅう)
松溪論畫圖 仇英(吉林省博物館藏)
松溪論畫圖 仇英(吉林省博物館藏)

陶弘景(456~536年)は、中国南北朝時代(420~589年)の文人、思想家、医学者です。江蘇省句容県の人です。茅山という山中に隠棲し、陰陽五行、山川地理、天文気象にも精通しており、国の吉凶や、祭祀、討伐などの大事が起こると、朝廷が人を遣わして陶弘景に教えを請いました。
そのために山中宰相と呼ばれました。庭に松を植える風習は陶弘景からはじまり、松風の音をこよなく愛したものも陶弘景が最初です。
風が吹くと喜び勇んで庭に下り立ち、松風の音に耳をかたむける陶弘景の姿はまさに仙人として人々の目に映ったことでしょう。



3.【本草項目】(西暦1578年)
30年近い歳月を費やして明代の1578年に完成された李時珍(りじちん)の『本草項目』です。掲載する生薬の数は、約1900種に増えました。
『本草綱目』は、1590年代に金陵(南京)で出版され、その後も版を重ねました。わが国でも、徳川家康が愛読したほか、薬物学の基本文献として尊重され、小野蘭山陵『本草綱目啓蒙』など多くの注釈書、研究書が著されています。
本草綱目は日本などの周辺諸国のみならず、ラテン語などのヨーロッパ語にも訳されて、世界の博物学・本草学に大きな影響を与えています。
本草項目
儒者・林羅山(1583~1657年)の旧蔵書

李時珍 李時珍(1518~1593年)は、中国明時代(1368~1644年)の中国・明の医師で本草学者。中国本草学の集大成とも呼ぶべき『本草綱目』や奇経や脉診の解説書である『瀕湖脉学』、『奇経八脉考』を著した。
湖北省圻春県圻州鎮の医家の生まれです。科挙の郷試に失敗し、家にあって古来の漢方薬学書を研究しました。30歳頃からあきたらくなって各地を旅行し調査したり文献を集めたりはじめます。ついに自分の研究成果や新しい分類法を加え、30年の間に3度書き改めて、1578年<万暦6年>『本草綱目』を著して、中国本草学を確立させました。
関連処方李時珍、生家にて »



4.【中医臨床のための中薬学】(西暦1992年)
現在、私が使用している本草の辞典です。生薬の記載個数は、約2,700種に増えました。
神戸中医学研究会の編著です。
中医臨床のための中薬学


区切り
人参 道教・八卦

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