漢方薬 中医師 漢 方

肝の陰液不足のために相対的に肝陽が亢進して生じます。肝陰虚・肝腎陰虚による陰虚火旺でありますが、肝血虚に伴うこともあります。特徴は陰液不足の症候とともにあらわれる熱証(虚熱)で上半身とくに顔面や頭部に熱証がみられます。脳の抑制過程の減弱による興奮性増大・自律神経系の興奮・ホルモン失調・異化作用亢進などが関連すると考えられます。

高血圧症・脳動脈硬化症・自律神経失調症・更年期障害・慢性肝炎・慢性腎炎・甲状腺機能元進症・不眠症などでみられます。
【主症状】
肝血虚の症状以外に、頭痛・顔面紅潮・目の充血・目やに・口渇・咽のかわき・口が苦い・のぼせ・いらいら・怒りっぽい。入眠困難・不眠・耳鳴・動悸などの熱証があらわれます。
舌質は紅〜深紅で乾燥、舌苔は少ないか無し。
脈は弦細数。
【論治】
治法は滋陰平肝潜陽です。滋補肝血の薬物に、玄参・生地黄・天門冬・麦門冬・女貞子・亀板・士別果などの滋陰薬を配合し、鎮静・鎮痙・解熱などの作用をもつ釣藤鈎・天麻・藻黎子・玲羊角・石決明・真珠・竜骨・牡蛎などの平 肝潜陽の薬物あるいは蘭花・山楯子・牡丹皮・知母・黄柏・青嵩・白薇・銀柴胡・地骨皮などの清熱薬を加えます。
【代表方剤】
陽亢が主であれば、
●平熄内風剤…天麻鈎藤飲など。
陰虚が主であれば、
●補陰剤…杞菊地黄丸・一貫煎・大補元煎・左帰丸など。