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腎虚;下半身に位置する臓器の働きが低下した状態をさし、様々な全身症状をもたらします。腎の精気不足です。
腎陰虚:陰が虚して相対的に陽が亢進し熱を帯びます。
腎陽虚:陽が虚して冷えや精力減退を伴います。

●なんとなく身体がだるい、根気が続かないなどの倦怠感が、まず目立ちます。
●それから腰痛と肩こり、また、手足がしびれたり、冷感を覚えることもあります。
●よく水を飲んだり(口渇)、夜中に何度もトイレに起きる(頻尿)のも腎虚の症状です。
●中年以降に多いです。

古代中国では、人間の生命力・生殖力の源の“気”を“精気”としてとらえ、この“精気”を貯蔵するのが“腎”であり、この腎機能の低下を、伝統医学で『腎虚(じんきょ)』といいます。

現代医学でいう「腎臓」は、主として尿をつくり、泌尿、栄養物の再吸収という働きをいいますが、伝統医学でいう“腎”を現代医学に解釈すると、腎の本質は視床下部から脳下垂体、さらに副腎皮質系への抗ストレスホルモンの関与、性腺や甲状腺への関与に関連し、さらに男女の性器生殖系、その他のホルモン系、神経系、泌尿系、造血系など多方面にわたる生体機能の調整を司るものと解釈できます。

ところで、休息しなければいけないにもかかわらず、休まずにいると臓器はしだいに弱ってきます。若いときに無理をした人がまっさきにやられるのが、この“腎”です。
したがって、歳をとるにつれて、多かれ少なかれ誰でも“腎虚”が進み、“腎虚”の症状が出てきます。
腰痛をはじめ、脚が弱くなったり、むくんでほてったり、しびれたり、痛んだり、あるいはお腹の下にどうも力が入らないといった症状なのです。なかでも、足や顔のむくみは“腎虚”の大きな症例なのです。
さらに顕著な症状としては、排尿困難とか、用を足してもすぐまたトイレに行きたくなる頻尿があげられます。夜間に2度、3度行きたくなる夜間尿もその一つです。
こうした頻尿、排尿困難現象は上半身にも影響し、かすみ目、肩こり、首がまわらない、口渇、タンがつまる、白髪が増えるなど、症状が慢性化し、もの忘れがひどくなる段階では、いわゆる老化現象が、肉体ばかりでなく頭にまできたということで、老化が本格化したと言えます。

熟地黄や山茱萸・牡丹皮・桂皮・茯苓・牛膝などの生薬には、科学的な試験でも抗糖尿病作用・男性ホルモン増強作用・利尿作用・脂肪分解作用などがあることが確かめられており、これらの生薬によって、お年寄りのクオリティ・オブ・ライフ(日常生活の質)が高まったという報告も多数なされています。