ページの最後へページの最後へ »

こんな方に

夜泣き、ひきつけの方

主 治

臓躁(夜泣き、ひきつけ、ぼんやりする、あくびがよく出る、眠りが浅い)

適応症

ヒステリーてんかん小児夜驚症夜啼症、激しいけいれん性の咳(痰のない乾性の咳)、自律神経失調症、小児の夜泣きひきつけ、小児及び婦人の神経症不眠症チック症舞踏病、泣き中風、笑い中風、そううつ病

妊娠・授乳の注意

女性

●妊婦または妊娠の可能性のある人は、使用できない場合があります。

診断のポイント

●著しい神経興奮
●痙攣、腹皮攣急(腹直筋は緊張)
●あくびを頻発

弁証論治

●心血虚 »
●心脾気血両虚(心血虚+脾気虚) »

出典書籍

出典書籍 (source)
西暦250年 三国時代 『金匱要略』 校訂 東漢・張機(仲景)著。原著は《傷寒雑病論》という。北宋の王叔和は《金匿玉函要略方》全3巻を記録し伝えた。その伝本を林億らは《金匿要略方論》と改名した。全25巻、方剤262方、内科雑病、婦人科、救急、飲食禁忌などについて述べられている。漢代以前の豊富な臨床経験を総結し、弁証論治および方薬配伍の一般原則を記している。→処方使用期間:1757年間


処方別・製品一覧

医薬品個人輸入 説明表示をクリック(タップ)→説明表示 いらっしゃいませ 医療用漢方薬

コタロー 甘麦大棗湯 エキス細粒の通販画面へコタロー 甘麦大棗湯 エキス細粒の通販画面へ »
小太郎漢方製薬小太郎漢方製薬 » ≪医薬品≫ 漢方製剤No:N72
本剤は、〈散剤〉です。
医薬品の個人輸入
コタロー 甘麦大棗湯 エキス細粒のお買物(shopping)
商品番号 規格 税込価格 数量 カゴに入れる↓
k2173 3.0g×42包(2週間分) 2,727円(税込)
数量
k2174 3.0g×168包(56日分) 9,846円(税込)
数量
●一日分価格(税込)…0円


区切り線


ツムラ 甘麦大棗湯 エキス顆粒(医療用)の通販画面へツムラ 甘麦大棗湯 エキス顆粒(医療用)の通販画面へ »
ツムラツムラ » ≪医薬品≫ 漢方製剤No:72
本剤は、〈顆粒剤〉です。
医薬品の個人輸入
ツムラ 甘麦大棗湯 エキス顆粒(医療用)のお買物(shopping)
商品番号 規格 税込価格 数量 カゴに入れる↓
k0683 42包(2週間分) 3,438円(税込)
数量
k0811 189包(63日分) 13,121円(税込)
数量

●一日分生薬乾燥エキス量…3.25 g  ●一日分価格(税込)…224円


区切り線


ご購入手順

SSL説明ページへ

*【カゴに入れる↓】ボタンをクリックするとあなたの買物カゴに商品が1個入ります。
*複数個お買い上げの場合は数量を入力して、【カゴに入れる↓】ボタンをクリックして下さい。
*別の商品の【カゴに入れる↓】ボタンをクリックするとあなたの買物カゴに別の商品が追加されます。
*このご注文からSSL(セキュリティ機能)を使用しますので、あなたの情報は安全に守られます。
CreditCardの使用ができるようになりました。

  リンク電話注文 »電話注文 リンクFAX注文 »FAX注文 リンクメール注文 »メール注文 リンク直接来店 »直接来店

区切り線

証の判定

判定

証(症状・体質)判定を望む方判定の方右矢印 陰陽(太極図)証の判定メニュー画面へ »
※この判定のために、AI(人工知能)のエキスパート・システムを構築しました。Java

中医学の証・解説

次の症状のいくつかある方は、本方剤が良く効く可能性が大きいです。

甘麦大棗湯 朱雀:四神の獣・南方の守護神

【中薬大分類】安神剤…精神を安寧させる方剤です。重鎮安神・滋養安神の薬物を主体にして安神(精神安定)の効能を現す方剤です。

【中薬中分類】滋養安神剤…精神を滋養して安寧させる方剤です。陰血不足による虚陽偏亢で、焦燥・不安・動悸・不眠・易醒・多夢・盗汗(寝汗)・健忘・舌質が紅絳・少苔などの時に使用します。

八綱分類

裏熱虚(りねつきょ) 裏 熱 熱 虚 …証(体質・症状)が、裏証(慢性症状)、熱証(炎症)、虚証(虚弱)、気上衝(のぼせ・イライラ・緊張・不安)の方に適応します。


【気血津・臓腑証】
心血虚(しんけつきょ)…適応する病態は「ヒステリー」に相当しますが、不安感・悲哀感・焦躁感・不眠あるいは浅眠・多夢が主体のものによく、いらいら・怒りっぽい方には適しません。
目標のひとつに「あくび」がありますが、胃陽不足による症候と考えられて、大棗・炙甘草によって改善されるものです。
大棗・炙甘草は止痛に働くので痙攣(、けいれん)にもある程度の効果があります。女性のみでなく男性にも用いてよく、小児のむずかり・夜泣きにも奏効します。

【証(病機)】心血虚(しんけつきょ)

中医学効能(治法)

養心安神・健脾緩中・補血安神

用語の説明(term)

養心安神法(ようしんあんじんほう)…心の陰血が不足して起こる心神不安の治療法です。

健脾(けんぴ)…脾の働きです。脾胃の機能を正常にする治療法です。

補血(ほけつ)…血を補うことです。=益血、養血。

血虚(けっきょ)…体を栄養する血が不足した状態です。貧血などで栄養成分が不足した状態です。顔色不良、口舌が淡白、爪・毛髪につやがない、ふらつき、視力減退などがあります。

心血虚・心陰虚(しんけっきょしんいんきょ)…心血虚・心陰虚;心の陰液の不足による症候で、主に精神不安があり、心拍動の異常があり、一般的な血虚・陰虚の症候が見られます。中枢の抑制過程の低下・自律神経系の過亢進・心筋の代謝異常などによる症候と考えられます。

使用目標(aim)

本方剤の適応する使用目標は次のとおりです。
●神経の興奮があり、筋肉の緊張やけいれんがあって安眠できない。
●不安や心配が心を満たし、無意味に悲しくなって気持ちが沈み暗くなる。
●頻繁にあくびや背伸びをする。
●奇妙な行動やおかしな動作をする。
●神経的に疲れやすく、胃腸が弱い。
●ストレスがたまりやすく、頻繁に八つ当たりをしてしまう。


症例・病例・治癒例・case study(case study)

【甘麦大棗湯の症例・治例】…次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。

1〈外傷後のひきつけ〉

治例図 小学校三年の女子。

誤って転落して頭を強打し、人事不省に陥ること三日に及んだ。覚めてみると右半身不随となり、「昼夜に数十回も角弓反張(全身痙壁)の発作を起こして人事不省となる。覚めてみると、あくび頻発し、言語は不明瞭、諸治療をうけたが効がなかった。

診ると全身に軽度の浮腫があり、脈は緊でやや数、右腹直筋の撃急が強度で棒のようである。

甘麦大棗湯一カ月間服用ののち発作が減少し、10カ月で全治した。

・現代病名:外傷後のひきつけ

区切り線

2〈猛烈な癇癪(かんしゃく)発作〉

治例図 16歳の男子。

一見頑健そうに見える。幼時脳膜炎にかかった。八歳のときから癒滴の発作を起こし、年とともに激しくなった。諸治療をうけたが治らず、ついに信仰に頼り、俄悔と祈りの行に励んでいた。しかし読経に熱中すれぱするほど発作が激しく、これは祖先の霊のたたりであると信じている。

脈は弦で、腹筋は緊張拘急し、肝臓が腫大し、圧痛がある。初め柴胡清肝散効なく、次に柴胡加竜牡湯を与えたが無効。再び柴胡清肝散にすると発作はいよいよ激しく、連続昏睡が三時間も続き、三日三晩発作の連続であった。

そこでこの急迫的発作と、その行動が神がかりの状態であるので、甘麦大棗湯にした。

これをのむと夢からさめたように発作はやみ、二カ月間続けているうちに、軽い発作が二度起こっただけで性格も一変して従順になった。このような猛烈な発作に柴胡剤や黄連解毒剤のような苦味は適当せず、甘味のあっさりしたものがよいようである。

・現代病名:癇癪(かんしゃく)発作

区切り線

3〈鬱病〉

治例図 戦後二年ほど経たころ、茨城の田舎で往診した。17歳の頑健そうな男子である。

半年ほど前から学校を休んで、呆然として毎日を過ごすようになった。何事をするにも意欲がなく、いかにも物憂い態度である。

この患者の特徴として、午後四時になるときまって自ら一室に入り、何事かを悲しむがごとく、さめざめと泣き続け、一時間ほどするとやみ、部屋から出てくるというのである。

患者は全く無表情で、自ら容態を訴えようとはしない。脈は特記すべきものはないが、腹部は堅く、板のように張りつめている。

婦人ではないが、しばしぱ悲しんで泣くという。その様はあたかも悪きものでもついたようで、毎日きまって一室に入って泣くということが、「喜悲傷架せんと欲し、象神霊のなすところのごとし」に相当するものとして、甘麦大棗湯を与えたところ、二カ月ほどで泣くことはやみ、漸次回復した。

・現代病名:鬱病

区切り線

4〈再び月経が起こり、気力も回復〉

治例図 食品会社に勤めるTさん(52歳・女性)は、月経が止まって数ヵ月が過ぎていました。

気分は落ち着かず、イライラして、生きるのも苦痛という、そんな状態が続いていたそうです。次第にやる気が失せ、仕事にも行かなくなってしまいました。初めてS病院に来たのは知り合いの紹介でした。以前友人がお世話になったということで、漢方薬を処方してくれる婦人科系の病院を選んだようです。

医者がTさんの症状をみると、目はつり上がり(怒っているような雰囲気)、手足は冷たく、のぼせがありました。そこで、加味逍遙散甘麦大棗湯の2つが処方されることになったのです。

毎日欠かさず1ヵ月間、両処方を飲み続けたところ、気力が回復し仕事に行けるようになりました。

2ヵ月もすると、今度は体から冷えが取れ、月経が再び来たそうです。これは、漢方薬を飲んだことで、一度止まったと思われていた月経が再び起こり、体にたまった汚いものを全て洗い流してくれたのです。それ以降、気分は明るくなり、今まで以上に活発な生活を送っているそうです。

・現代病名:更年期障害

区切り線

5〈ひどい夜泣きが1週間で治まった〉

治例図 2歳の男の子を持つ母親が「息子は敏感な子どもで癇(かん)が強く夜泣きがひどい」と漢方薬局に相談に来ました。連日のように続く子どもの夜泣きのせいで、母親の表情はうつろで明らかに疲れがたまっているようでした。

漢方薬局では、癇の強い夜泣きに効く抑肝散を勧められました。この漢方薬は苦みがわずかにあるので、細粒にしてミルクに混ぜたり、ジュースに入れるなどして、1日3回(分量は1g以下程度)飲ませたところ、約1週間で滴の虫が治まり夜眠れるようになったそうです。その即効性には母親も驚いてしまい、以来夜泣きで同じように悩んでいる母親を見ると、漢方薬を使ってみるように勧めているそうです。

この症例では抑肝散が処方されていますが、同じ夜泣きでも胃腸の弱い子どもには甘麦大棗湯が有効だと考えられています。甘麦大棗湯は、味が甘く苦みも少ないので、子どもにとっても飲みやすい漢方薬の1つです。大人が飲んでも神経が落ち着いてリラックスできます。そのため、不眠症の改善にもよく用いられる処方です。

・現代病名:夜泣き

区切り線

6〈漢方治療で症状が改善、性格も前向きに〉

治例図 漢方を処方する病院に、夫同伴でやってきたAさん(32歳)が、初めに訴えたのは、冷え症治療でした。しかし、問診をしていくうちに、Aさんには冷え症だけでなく、軽度のヒステリーが隠されていることが分かりました。

聞くと、普段から不眠や不安にさいなまれており、食欲も不振とのこと。1人で電車に乗ろうとすると体調が悪くなるので、夫同伴で来院したといいます。

不眠と不安、虚弱体質、おなかに触れるとトクトクという拍動が感じられることから、Aさんには甘麦大棗湯桂枝加竜骨牡蛎湯の2つが処方されました。

服用しはじめて2週間もすると、電車に乗っても大丈夫かもしれないという気持ちがわくようになりました。徐々に考え方も前向きになり、不安や心配事を抱え込むことがなくなってきたのです。2ヵ月を過ぎるころには、電車に乗っても体の不調が起こらなくなり、家族の同伴がいらなくなりました。

1年後、Aさんはすっかり明るく変身し、はつらつとした毎日を送っています。

・現代病名:ヒステリー

区切り線

組成成分

各生薬の詳細説明にリンクします。
小麦  甘草  大棗 

中薬構成(herb composition)

神農

構成生薬は小麦とナツメの実と醤油の味(甘味)付けに使う甘草の3種で、こんなものが薬になるのかと驚くような処方内容です。
しかし、うまく使うと確かに著効を示すことがあり、中国人の好んで用いる「医食同源」、「薬食同源」という言葉が納得される方剤です。この方剤の意味は、小麦と大棗の鎮静作用(いずれも降性で小麦は涼性である)と甘草の緩和作用が組み合わさって、一つ一つでは薬性とは言い難いほどの作用が強化されて、強い薬性を発揮するのだと見ることができます。甘草・小麦・大棗はいずれも収斂性と補性・潤性をもっており、これが降性および小麦の涼性と結び付いて、興奮性の方に対する鎮静効果を充分に発揮します。

神農:三皇五帝のひとりです。中国古代の伝説上の人といわれます。365種類の生薬について解説した『神農本草経』があり、薬性により上薬、中薬、下薬に分類されています。日本では、東京・お茶の水の湯島聖堂に祭られている神農像があり、毎年11月23日(勤労感謝の日)に祭祀が行われます。

区切り線

処方画像

心身の興奮や痙攣心身の興奮や痙攣(けいれん)状態を改善
神経の著しい興奮状態を鎮め、様々な痙攣(けいれん)症状を和らげて治すために用いられる処方が、甘麦大棗湯です。
適応する主な病気には、ヒステリー、てんかん、ひきつけ、ノイローゼ、躁鬱病などをはじめ、震えが止まらないなどの症状を示す舞踏病、口をゆがめたり奇声を発するチック病、あるいは、神経的に差し込むような痛みの胃けいれん、ヒステリーの一種とされる子宮痙攣(けいれん)、百日ぜきのような痙攣(けいれん)性の咳(せき)などが挙げられます。この処方の対象となるような人は、腹直筋の特に右側が急激に引きつった状態になったり、過労による神経発作などを引き起こす場合があります。
処方される生薬の甘草も大棗も緩和薬なので、切迫した筋肉の引きつれ、神経の興奮、さまざまな体の痛みを和らげます。また、小麦も緩和、鎮静作用があり、特に精神に働いて脳神経の興奮を鎮めるのに有効です。構成生薬は以上の3種ですが、どれも甘味薬ということで服用しやすく、ひきつけ、夜泣きが激しいといった小児にも飲ませやすいでしょう。
気の疲れからくる胃弱にも有効
甘麦大棗湯に合う証は、虚証とされていますが、子どもの場合は実証にも用いられます。
この場合の虚証の診断では、特に気が弱まっていることが重視されます。「健全な肉体に健全な精神が宿る。また、その逆も真なり」というように、心と体はともに健全かつ健康でなければなりません。心をコントロールしている脳の神経細胞が疲れると、心もバランスを損ねます。そうして、体はある程度丈夫なのに気が衰えている人、気が弱まったために胃腸虚弱になった人、心身ともに疲れやすく、頻繁にあくびをするという人にも、この処方が応用されるのです。
ストレスが蔓延している社会で頑張り続けていると、心が傷付くこと、悩みを抱えることが、大小さまざまに身に降りかかってきます。それらをため込んでしまうと、それが脳の神経細胞から悪影響の信号として胃腸に送られてしまいます。胃腸が弱まると、さらに神経も疲れるという悪循環に陥りやすくなります。心身の良好なバランスを取り戻すためにも、甘麦大棗湯は強い味方になるでしょう。

区切り線

女性を癒す特に、頑張る女性を癒す優しい漢方薬
漢方薬の文献である中国の『金匱要略』(きんきようりゃく)に「婦人蔵躁」(ふじんぞうそう)という条文があり、甘麦大棗湯は主に女性に効くとされています。
現代社会において、女性は頑張って働いています。しかし、働きすぎてストレスがたまると、イライラが爆発してヒステリーを起こしたり、反対に悲観的になって何かと愚痴をこぼしたり、意味もなく悲しくなって泣いてしまうといった、一見、感情的な行為が男性よりも多く見られるようです。
イライラする感情は肝臓の機能低下に関係があるので、その解消には加味逍遙散を用いる場合もありますが、そのほかの胃腸の不調に伴う症状には、やはり甘麦大棗湯がよく効きます。
証に合うと、明るくプラス思考にしてくれ、心身ともに元気になります。

区切り線

合 方(複数の漢方薬を合わせた処方)

(複数の漢方薬を合わせた処方)
他剤との効用併用を示します。合方は良効なケースが多いです。
本方の証の方で、さらに次の症状がある方は、合わせて次の方剤を飲むと良く効きます。
病症症状 合方 備考
明らかな血虚が見られる場合 甘麦大棗湯+四物湯 »
甘麦大棗湯+芎帰膠艾湯 »
気虚を伴う場合 甘麦大棗湯+補中益気湯 »
甘麦大棗湯+帰脾湯 »
肝欝を伴う場合 甘麦大棗湯+四逆散 »
腹満が生じやすい方の場合 甘麦大棗湯+香蘇散 »
甘麦大棗湯+半夏厚朴湯 »
理気を主体とする方剤と合方すると良い

類方鑑別(効き目が似た別の漢方薬紹介)

他剤の効用を示します。証のまぎらわしい処方との鑑別をしめします。
●抑肝散…虚実中間証、神経過敏で興奮し易いが、本方証のような急迫症状は訴えない。
●半夏厚朴湯…ヒステリー的というよりノイローゼ的傾向。気欝と咽中炙欝の症状がみられる。(気滞、胃気上逆)
●桂枝加竜骨牡蛎湯…虚証、冷え症、疲れ易い。脂肪に動悸を触れる。腎虚と虚陽上浮による。
区切り線
区切り線