苓姜朮甘湯の症例・治例

効果この症例に近い病症の方は、この方剤を用いることをお奨めします。

事例蘆溝橋・欄干(獅子の彫刻)●苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)  腰の冷えや痛みを和らげる処方!


1〈腰痛と頻尿〉

37歳、女性。
10年ほど前のこと、不妊でみえて、3年の服薬で女児に恵まれた。その後も季節の変わり目に頻尿と腰痛が起きて、2ヶ月ほどの服薬で治っていた。出産から7年経過した今回は、なかなかすっきりせず、猪苓湯、真武湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰芍薬散加附子などを試みたが、完全には治らなかった。
1月になって寒い日のこと、改めて証をとり直した。身長155p、体重50s。食欲はあり、元気はよい。腰は冷えて重たく、頻尿だが手は温かく、足先は冷たい。昔あった肩こり、頭痛、生理痛はほとんどなく、舌は微白苔で湿っている。口はまったく乾かない。以前、脈はほとんど触れなかったのに、改善されて普通である。
幾らか実証になってきたと思い、婦人華と苓姜朮甘湯を1ヶ月分差し上げた。2週間後に電話があり、大変好調とのこと。その後3ヶ月、1日2回のんでいる。脈の変わり方には驚かされた。

2〈尿路不定愁訴〉

48歳女子。
患者は、数ヶ月前から残尿感や排尿痛があり、医師から抗生物質をもらって飲んでいるが、治らないという。
自覚的には、排尿痛、残尿感の他に、薄い尿が頻々として出る。腰がひどく冷え、足もまた冷えるという。診断すると、脈力、腹力ともにやや弱く、他にこれという腹候はない。
以上の自他覚症状から苓姜朮甘湯と考え、足が冷えるのでこれに附子を加えて、苓姜朮甘湯加附子として投与した。服用を始めると、とんとん拍子によくなっていき、約3週間で排尿痛、残尿感が完全になくなったので廃薬した。

唐太宗・李世民 朱雀