当帰芍薬散の症例・治例

効果この症例に近い病症の方は、この方剤を用いることをお奨めします。

事例蘆溝橋・欄干(獅子の彫刻)●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)  体力が低下した冷え症の女性に、幅広く有効な漢方薬!


1〈不妊症〉

25歳女性。結婚年数2年10ヵ月。
月経不順で少量。妊娠経験なし。昭和42年2月11日初診。体重41s。顔が細く色白。冷え症である。当帰芍薬散を投与すると、服薬2日後に黒茶色の腐ったようなおりものが出て10日間つづいた。1ヵ月の服用で月経異常は治り、それまでホルモン注射しなければ二相様にならなかった基礎体温曲線がハッキリしてきた。冷え症も治り体重がふえ、顔もふっくらとしてきた。230日服用して妊娠。43年9月20日に女児(3,350gを分娩。その後、さらに2児(共に女児)を分娩す。

2〈めまい・貧血〉

33歳の女性。
体格はやせ型。顔色は青白い。疲れ易い。生理痛が強い。血圧が低く、めまいがある。首すじと肩がこる。手足の冷え、腰の冷えと痛みがある。当帰芍薬散を与える。1ヶ月後に腰痛がとれる。2ヵ月後、肩こり、目まいがとれてきた。4ヵ月後、生理痛も軽くなる。体調がよいとのこと。その後2ヵ月間服用、廃薬とした。

3〈更年期症状〉

40代に入るころから、不快な症状に悩まされてきたKさん(42歳・女性)は、しつこい肩こり、頭痛などの不定愁訴に加え、一晩寝てもだるさが抜けず、寝起きの悪さを感じていました。
かかりつけの病院では、更年期障害と診断され、さまざまな薬をもらっていましたが、症状は一向によくなりませんでした。
そこで、主婦仲間に紹介された漢方を扱う婦人科を訪れたところ、当帰芍薬散を処方されました。医師は「冷え症で貧血がある」というKさんの訴えから、瘀血症状があると判断し、薬の処方とともに、体を冷やさないように生活指導も行いました。
Kさんが3ヵ月間、医師の指示どおりに薬を飲み、体を温める食養生や生活習慣にも気をつけたところ、症状はとても軽くなりました。最近は、朝、起きられないということもなくなったようです。

4〈冷えとむくみ〉

神奈川県大和市。28歳/女性。
色白で冷え症の女性の方。印象として幼い感じを受ける(子宮発育不足)。主訴の他に頭重感もあったが、当帰芍薬散180錠1本を用法・用量通り服用していただいたところ、頭重感がとれた。その後は、540錠を購入され、2本目を服用継続中である。冷えやむくみも少しずつ良 くなっている。

5〈月経前後の頭重感とむくみが完治〉

会社員のMさん(23歳・女性)は、貧血気味で冷え症です。そして、月経前後には体がとてもむくみ、頭が重だるくなる症状が続いていました。ほかに、頻尿や月経痛もありました。
漢方医の診断により、Mさんには当帰芍薬散が処方されました。Mさんのように血の道症でむくみがあり、貧血がある人には、当帰芍薬散四物湯がよく用いられるとのことでした。
服用を始めると、まず月経痛が楽になり、次いで冷え症が改善されました。しばらくすると、頻尿が治って、ついには、むくみや頭重感などの症状も出なくなったそうです。

6〈人付き合いが楽しくなって人生観も変わった〉

47歳の女性、Mさんは、専業主婦です。
月経が止まって数ヵ月が過ぎていました。自覚症状としては、めまいがする、夜眠れない、食欲がない、やる気が起こらないなどがありました。2ヵ月後にはピアノのリサイタルが控えており「こんな状態ではうまく演奏ができない」と頭を悩ませていたのです。
そこで、近所の婦人科病院を訪れて相談したところ、めまいが主訴ということから、真武湯と当帰芍薬散が処方されました。
飲み始めて1ヵ月が過ぎたころから、体が徐々に温まってきて、夜ぐっすり眠れるようになりました。食欲も回復し、体も動くようになったそうです。ピアノの練習にも精が出るようになり、無事リサイタル公演も済ませました。今までイライラしていた気持ちがうそのようで、人付き合いが楽しくなり、「友人がこれまでよりも優しくなった」といって喜んでいたそうです。

7〈数年采の耳鳴りが異なった漢方薬の併用で治った〉

45歳のS子さんは、セミが鳴くような耳鳴りに4年間にわたって悩まされていました。
耳鼻科に通院していましたが、症状が一向によくならないので、漢方薬を扱う病院を訪れました。
体カがなく手足が冷えているS子さんには、真武湯と当帰芍薬散が処方されました。朝に真武湯、昼に当帰芍薬散を飲むようにすると、3ヵ月で耳鳴りの音が小さくなり、1年を過ぎたころには全く気にならなくなりました。

8〈駆瘀血剤で歯肉炎と月経痛が治った〉

歯肉炎をよくするために歯科で歯磨き指導を受けていたYさん(30歳・女性)は、ひどい月経痛にも悩まされていました。
漢方を扱う医師に相談したところ、Yさんはやせ型で冷え症、痕血があるということで当帰芍薬散が処方されました。飲みはじめてから3ヵ月すると、血の滞りが改善され、歯肉の色が紫色からピンク色に変わってきました。
そして3年ほど飲み続けたころ、歯科医から歯肉炎卒業のお墨付きをもらえるほどになったのです。当然、そのころには悩まされていた月経痛もなくなっていました。

唐太宗・李世民 朱雀