紫雲膏の症例・治例

効果この症例に近い病症の方は、この方剤を用いることをお奨めします。

事例蘆溝橋・欄干(獅子の彫刻)●紫雲膏(しうんこう)  皮膚外傷全般に使用できる軟膏の常備薬!


1〈血栓性静脈瘤による潰瘍(静脈瘤性下腿潰瘍)〉

60歳女性。床屋の奥さんで、いつも立ち仕事が続いている。
顔色は艶があり、大柄で、肉付きはよいが、水太りタイプである。大便は異常なく、お茶やお菓子などが好きである。足にできた静脈瘤が破れ、痛みが激しいと相談に来られた。病院では心臓が悪いためだといわれ、ときどき利尿剤を出されていたという。また、患部に対しての治療は、かさぶたを取り消毒薬で洗ったり、抗生物質の点滴をしたりなど、複数の医療機関で既に3年も繰り返しているが、傷の痛みはいつこうによくならないという。
これ以上病院の治療を続けるのがいやになったとのことである。足に巻かれた包帯を通して、消毒薬で黄色っぽくなった浸出液がしみ出している。包帯を取り、患部を見せてもらうと、静脈瘤がボコボコと飛び出しているところに、まるで皮膚をえぐったように直径10p位の潰瘍ができていた。漢方薬の内服もあれこれと考えたが、まずは外用薬のみでやってみようと思い紫雲膏を投与した。家に帰り患部に塗布したところ、その日のうちから痛みがおさまってきたという。紫雲膏の塗布を続け、穴状のえぐれた部分は日に日に小さく固まっていった。約3ヵ月後、まわりの静脈の熱感、発赤の一進一退は相変わらずで、静脈瘤のある部分全体にときどき走る鈍痛に対しては、鎮痛剤の座薬で痛みを抑えているが、潰瘍のあった患部は、順調に快復し、5p位の厚いかさぶたを残し、傷口がまったく塞がってきた。現在発生している静脈瘤が再び潰瘍にならないよう、越碑加乖湯と桂枝茨苓丸の服用を10日前から開始したところである。

2〈火傷(やけど)〉

15年前の正月、次男が生まれまして10日目ぐらいの日、手伝いの人が誰もいなくなったので、お湯を使わせるので家の中にタライを持ってきて熱湯を入れ、水をとりに行っているひまに長男がふざけていて、その中に落ちてしまいました。
冬のことですから毛糸のセーターを脱がせましたところ、一皮むけて見るも無残な赤裸になってしまいました。ちょうど手許に紫雲膏がありましたので、急いでガーゼに塗り患部に付着させ、軽く包帯をしてやりましたところ、今まで痛がっていたのが1分足らずで刺激が取れたものと見えまして、おとなしく安眠しました。
1日2回の薬の交換で、わずか1週間ぐらいで跡形もなく全治しました。

唐太宗・李世民 朱雀