五積散の症例・治例

効果この症例に近い病症の方は、この方剤を用いることをお奨めします。

事例蘆溝橋・欄干(獅子の彫刻)●五積散(ごしゃくさん)  下半身の冷えからくる諸症状に有効な優しい漢方薬!


1〈心臓性喘息〉

32歳の婦人。
心臓性喘息と言われて10年も前から苦しんでいた。そのため人工流産を二度も行った。
足が冷えて小便頻数となり、暦傍より何か塊りがのぼってきて、心臓に向かってくると発作がおこるという。断末魔の苦しみである。脈沈遅で軟弱、心下に荷え、肝肥大して、心雑音を聴く。五積散を与えたところ、非常に好転した。本方はよく肝を和し、脾を救い、気血を順らし、疾を去り、寒を逐う作用があるからであった。

2〈冷房の冷え〉

治例図 40歳、女性、秘書。
体格中等度の人で、左肩から左側胸部や左背中にかけて痛み、腕がだるくて力が入らなくなって、麻摩するのではないかと心配して来院されました。オフィスの机の左上方から冷風が流れてきており、冷房が入るようになってから痛み出したということでした。下肢は冷えるのに上半身はあつくのぼせる冷えのぼせの典型的な状態でした。冷房対策を行ってもらい、五積散をのんでもらいますと、症状は次第に軽くなり、2ヶ月の服用でよくなりました。

3〈肛門痛〉

44歳の主婦、Mさんの治験例です。
Mさんは4月に草むしりをした後に腰が痛くなりました。腰とはいっても肛門の奥の方が痛むという症状で、外科や産婦人科でも診察を受けましたが、原因は不明でした。
半年以上たっても痛みがひかないため、Mさんは、漢方を扱う医院を訪ねました。そして、上熱下冷が著しく、足の冷えがかなりつらい、また下痢をしやすいとの訴えから、おなかの冷えがひどいと診断され、五積散加附子が処方されました。それから、毎日服用し続けたところ、半年以上も悩まされていた痛みが、わずか2週間できれいさっぱり解消してしまったのです。
女性の中高年期は、上熱下冷が認められることが珍しくありません。このような場合には五積散がよく用いられますが、特に冷えがひどい場合には附子を加えることで温補効果が高まり、より早く効き目が現れます。

4〈足腰の痛みに〉

55歳の女性。身長op、体重55s。
脂肪太りで体質は冷え症、小便の回数が多く、生理不順でした。
梅雨時に腰から足にかけて痛み があると言って相談。仕事が花屋さんで、水にさわると体が冷えると訴えられました。背中がゾクゾクするような風邪をよく引き、そ んなときや冷えたときに腰痛、足 の痛みが起こります。
風湿と判断し、五積散を1日3回、1回4錠服用していただきましたところ、1週間で風邪の症状は消え、2週間日で腰や足の痛みも消えました。併用薬は苓姜朮甘湯でした。

唐太宗・李世民 朱雀