桂枝加黄耆湯の症例・治例

効果この症例に近い病症の方は、この方剤を用いることをお奨めします。

事例蘆溝橋・欄干(獅子の彫刻)●桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)  風邪、急性熱性疾患、アセモ、滲出性中耳炎に!


1〈発汗をともなった神経痛〉

治例図 66歳の男子。
梅雨時に冷えこみ、右肩から右上肢全体に神経痛様の痛みを起こして来院した。背の高い痩せ型の人で、脈細く直腹筋緊張し、振水音を認める。発汗がひどく、とくに寝てからがひどく、夜中に二度シャツを取り替えるという。初め防已黄耆湯を与えたが効かないので、桂枝加黄耆湯と桂枝加苓朮附湯を合方して与えた。この方をのんで発汗が次第に減少し、痛みも漸減した。

2〈数年できれいに治った〉

生まれつきアレルギー体質を持つ小学生のTちゃん(当時8ヵ月・女の子)は、近所の皮膚科でステロイド剤によるアトピー性皮膚炎の治療を受けていました。
しかし、いっこうによくならないため、母親が以前、同様の症状を治してもらった漢方研究医に相談しました。
Tちゃんはぜんそく持ちで虚証体質のため、桂枝加黄耆湯や柴胡桂枝湯の併用を勧められました。この処方を続けたところ、3歳のころには、皮膚の症状がきれいに治ったのです。また6ヵ月からアトピーの症状が出た弟は、Tちゃんより体力があったため桂枝麻黄各半湯に黄耆を加えた漢方薬が処方され、1年で症状がよくなりました。
姉弟は、漢方薬を飲むほか、半身浴も行っていました。これも治りを早めるのに大変効果的だったようです。今では2人とも、薬の必要がないほどよくなっています。

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3〈悩みが解消したら症状も消えた〉

S君(当時9歳・男の子)は子どものころ、アトピー性皮膚炎とぜんそくを交互に繰り返していました。漢方薬の柴胡桂枝湯を継続して使いながら、かゆみのひどいときは桂枝加黄耆湯を加えた処方を併用していました。
あるとき、家族関係についてのS君の悩みに気付いた医師は、両親を呼んで、S君の心のケアをするよう指導しました。すると、S君の症状は見る見るうちによくなっていったのです。彼の場合、悩みや気持ちの不安定さが気の停滞を招き、それがアトピー性皮膚炎の症状となって現れていたのです。内面の悩みが改善されることによって気の巡りがよくなり、外に現れた症状も改善したわけです。
漢方薬の処方と同時に、気の流れに影響する心の問題に一歩踏み込んだ治療が、功を奏した一例です。

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唐太宗・李世民 朱雀