温経湯の症例・治例

効果この症例に近い病症の方は、この方剤を用いることをお奨めします。

事例蘆溝橋・欄干(獅子の彫刻)●温経湯(うんけいとう)  月経不順、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけに!


1〈鼻閉塞と頭痛、手掌角皮症〉

治例図 35歳の婦人。
やせ型で貧血症。主訴は鼻づまり、頭が痛いという。一度流産し、その後子どもがない。手掌が乾燥して荒れてガサガサし、皮が厚くなって表皮がむけている。この部に煩熱がある。月経不順で、帯下はない。大便1日1行。やや下痢気味で、小便は近いという。腹は左腹直筋が硬く触れ、圧痛があり、口唇が乾くという。温経湯を与えると、7日分で鼻が少しつまらなくなり、手掌に潤いが出てきた。さらに7日分のむと、鼻のつまりも、頭痛も、手掌の荒れもほとんどよくなった。また、月経のときいつも眠くなるのに、今度はそれがない。体重も2キロほど多くなったという。

2〈指掌角皮症〉

治例図 32歳女性。
身長150p、体重48s。顔色は悪く、貧血性。勤務先で強い洗剤を使うことが多い。数ヶ月前から両手指先が赤く痒くなった。皮膚科で進行性指掌角皮症と診断され、治療を受けているが治癒しない。手指の末節腹面の皮膚が乾燥して粗し、ザラザラしている。指紋がなくなり光沢あり、一部に裂け目を作っている。最近は拡大して手掌に及び、水仕事をするとしみる。時に痒みのために眠れないことがある。手のひらがほてり、口唇が乾燥する傾向がある。便秘がちで、3日1行。夜間尿2〜3回である。温経湯を投与したところ、症状は急速に軽快し、3週間後には全治廃薬した。陰虚証、気血両虚で寒冷を帯びた進行性指掌角皮症の症例で、手掌煩熱、口唇乾燥を目標に温経湯を投与し、短時日の間に著効を奏した例である。

唐太宗・李世民 朱雀